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昔の悲しい話 [昔話]

今日も温かい朝です。もっとも、昼過ぎからまた天候は、冬型になるそうですが。
昨日から水道を、井戸水に切り替えたました。顔を洗うと、水がお湯のように感じられて、
とても幸せな気分になってしまいました。

さて、人間、年を取ると、昔話を良くするようになると言いますが、今日はまさしく昔話です。
昔々、小生が、とある金融機関で融資担当者をしていた時の話です。
プライバシーのこともあるし、秘密保守義務もありますんで、詳しくは書けませんが
時効のになっていることですから、要点だけかいつまんでお話します。

沢山あるんで、折を見て書いていこうと思っていますが、今日と明日にまず、第一弾を
ご紹介いたします。

一話目は、小生が二十数年前、25歳で融資係になった時の話。

ある日の朝、仕事前のお茶を飲んでいるとき、同僚達の話し声が耳に入ってきた。
話の内容は、近所の釣り道具屋さんの家の前に商品が散乱していて、近所の住民が
喜んで家に持ち帰っている。と言うものであった。
そこは、僕の行きつけのお店であったので、驚いてしまった。

と同時に、その店に融資はなかったか胸騒ぎがして、台帳を調べてみた。
案の定、住宅ローンの顧客であったので、とりあえず、その店に駆けつけた。
行ってみて驚いた。店の前の散乱した商品は、大方、持ち去られ、店舗兼住宅は
もぬけの殻どころか、大阪ナンバーのベンツが数台店の前に停まり、その筋の若い衆
が生活道具を家の中に運び込んでいるところであった。

当時、住居の借り主には、異常なまでにアドバンテージのある、「短期賃借権」が良く援用
されており、その筋の方がその住居を占有するのを急いだのは、そのせいである。
これを、その筋の人がどう援用するかというと、通常、抵当権が設定されている物件は競売に
かかっても、まず配当はない。しかし、賃借権を逆手に占有を続ければ、物件を買う人がいな
くなるので、そこを抵当権者と話し合って、和解金をせしめるのが狙いである。

当方は連帯保証もとり、抵当権も設定してあり、かつ保証保険も付いているので免責事項さえ
なければ、別に問題はないのであるが、取りあえず、情報収集をして報告書を保証機関に提出
する義務があるので、事情を調べた。

詳しくは書けないが、大阪の業者から商品を仕入れていた、その店主は、その頃かなり
支払いが滞っていたみたいで、卸元が債権譲渡をしたらしい。
その相手先が、その筋の人たちで、店主家族は、その場で、何処へか連れ去られたそうだ。

その後、本人と連絡が取れ、大阪西成で、住み込みの労働をしているということであったが
何とも悲しい話で、今でもよく思い出す事例である。
二十数年経ち、あの人達は今、どうしているのだろう。


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コメント 14

呑気な行政書士

私の父も銀行員(今は無きT銀行)でした。融資を担当していたと思います。
父も,いろんな事を見てきたんだろうなと,思ってしまいました。
by 呑気な行政書士 (2006-01-17 07:28) 

マルケン

請負代金の回収なども業務としてやっていますが、
払わない方にもいろいろと事情があるようです。
仕事とはいえ、切なくなることもあります。
by マルケン (2006-01-17 08:44) 

エルモ

私も売掛金の回収では色々な経験を致しましたが、心を鬼に、なんてなかなかできるもんじゃぁ、ありません。その点、horigonさんの仰る 「その筋」 の方達は、もともと鬼のようですから、平気なんでしょうね。
by エルモ (2006-01-17 10:31) 

たいへー

きっとほんのちょっとの間違いが、後々大きな間違いになってしまうんでしょうね。 人事ではありませんよ。
by たいへー (2006-01-17 10:54) 

内部正明

西成といえば、アッチ系の人が多くないですか。もしかして今頃カノ国に!?そうそう、Horigonさんに触発されてうちもバナーを作りました。
by 内部正明 (2006-01-17 10:58) 

荒井太一

西成のあいりん地区あたりは、今でも日雇の人たちでいっぱいですが、
仕事も少なく、高齢化も進んでいるので、冬はとっても危険な季節なんだそうです。
クリスチャンの友人がよく、教会から炊き出しに行ってたのを思い出します。
自営業というのは、一歩間違えば、いつでもそんな憂き目に遭う可能性は、
あるんですよね…
by 荒井太一 (2006-01-17 11:04) 

武田のおじさん

なんか、債務者ばかりがいる、蛸部屋みたいなのがあるとか・・・。
生活は非常に厳しいとか・・・。常に監視付きだとか・・・。
「その筋」に関わると「骨」までしゃぶられるとか・・・。
しかし、「金」と「筋」を通せば、「堅気」にはヘタしません。
大阪に暮らしたことのある おじさんの見聞録でした。
お気の毒です・・・・。
by 武田のおじさん (2006-01-17 11:20) 

ケンシロウ

…悲しい話ですね。
荒井さんのコメントにあるように西成には日雇いの人が沢山おられます。
by ケンシロウ (2006-01-17 12:24) 

horigon

>呑気な行政書士 さん

お父様は、T銀行だったんですか。きっと、寂しい思いをされたでしょうね。
T銀行は規模も大きいし、私なんかより、遙かに多くの経験をお持ちだと思います。

>マルケンさん

返せない側にも、それなりの理由がある方も多いでしょう。
商売とは言え、自分の気持ちに相反した仕事は、切ないですね。
by horigon (2006-01-17 17:44) 

horigon

>エルモさん

世の中、エルモさんのような、人の痛みが分かった方ばかりじゃないということでしょうね。
一時、僕も鬼だったのかも知れません。

>たいへーさん

本当に、人ごとじゃないです。ほんのわずかの借金が元で、それを返すために
雪だるまみたいに借金が膨らむことが、実際にあるんですから。
by horigon (2006-01-17 17:53) 

horigon

>内部さん

ひょっとして、将軍様のところかも知れませんよね。

内部さん、触発された当人のより素敵なの作っちゃダメですよ。
昨日、他の方のコメントで、お作りになったのは知ってましたが
くやしいから、あえてコメントしませんでした。(笑)

>荒井さん

便利で物の満ち足りた世の中と思いがちですが、社会の吹き溜まりのような
ところが、今の日本にもあるんですね。
テレビ等で見た感じ、まるで違う世界を見るようですが、本当に他人事じゃないですよね。
by horigon (2006-01-17 18:07) 

horigon

>武田さん

まるで、小説の中のような話ですよね。
自分には関係ないと思っていると、社会には意外な落とし穴が
あるんでしょうね。

>ケンシロウさん

まったくですね。
一歩間違うと、僕がそこに行くことになるかも知れません。(汗)
by horigon (2006-01-17 18:13) 

川原秀行

マンガではなく現実にこういうことがあるんですね。一度西成に行った事がありますが、労働者の行列に驚かされ、圧倒されて近づけませんでした。
by 川原秀行 (2006-01-17 18:44) 

horigon

>川原さん

事実は小説より奇なりと言いますが、あまり、体験したい話ではないですよね。
西成はテレビで見る世界で、とても、同じ世界と思えません。
何かの訳ありでそうなられたんでしょうけれど、お気の毒です。
by horigon (2006-01-17 19:39) 

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