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古びた本 [読書]

久しぶりに、本棚の整理をしていて、僕が確か学生時代、そう、昭和50年頃
愛読した本が、目に留まった。
詳しい内容は、すでに、忘れてしまったが、当時、学生の間に非常に人気のあった
本である。

二十歳の原点

二十歳の原点

  • 作者: 高野 悦子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2000
  • メディア: 文庫

「独りであること、未熟であること、これが私の二十歳の原点である」

これは、著書の中に記された作者の詩である。
しかし、この本が、昭和46年に発売された時点で彼女は、この世の人でなかった。
この著書は、彼女の死後、記された日記をもとに編集し、発刊されたものである。

彼女は、学生運動華やかなりし頃、立命館大学史学科へ憧れを持って入学、
学生運動に、恋に、そして、学生としての存在に悩み、昭和44年自ら命を絶った。

今、久しぶりに、本をひもといてみると、文章にビッシリと蛍光ペンで線が
引かれている。
当時の、自分の心の投影だったのだろうか?
久しぶりに、純粋だった頃の、自分を思いだしてしまった。

京都に、当時、“シアンクレール”という、有名なジャズ喫茶があった。
後年、就職した僕は、夜行列車で特別な用事もなく京都へ行き、その喫茶店で
お茶を飲んだ。
別に、ジャズが好きだったわけではなく、彼女の日記に度々登場する喫茶店で
あったから。

久しぶりに手にした古い本のお陰で、遠い昔のことを思い出してしまいました。
昔のことを、話し出すと老化現象の始まりだとも言いますが、僕もそろそろ、その域に
達したということでしょうか。
最後に、彼女が日記の終わりに書いた詩の一部を紹介して、今日は、終わります。

旅に出よう
テントとシュラフの入ったザックをしょい
ポケットには一箱の煙草と笛をもち
旅に出よう

出発の日は雨がよい
霧のようにやわらかい春の雨の日がよい
萌え出た若芽がしっとりとぬれながら

そして富士の山にあるという
原始林の中にゆこう
ゆっくりとあせることなく


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私信:師匠、言いつけを守らず、更新しちゃいました。ごめんなさい。
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コメント 16

まめぞう

お早うございます。
最後の、辞世の詩には心打たれますねぇ。新緑の、富士の樹海で命を絶ったのですね。若さというものは、時に・・・・・って、駄目じゃァないですか。おとなしくしてなきゃぁ。たかが風邪、されど風邪!
42歳の僕は、独りでは無いけど、いまだ未熟です。^^;
by まめぞう (2006-02-07 06:56) 

たいへー

心を打つ詩ですな。 若い頃はある種不安定ですから、
思いつめたらトコトンいってしまう事がありますね。
でも、死んじゃいけません! 
乗り越えれば、いい人生だったかもしれないのに。
それはそうと、風邪をひかれたと聞きましたが、
パソコン媒体する新種のウイルスでもいるんですかね?
とにかく、お大事に。
by たいへー (2006-02-07 07:45) 

荒井太一

旅には出たいですが、富士の樹海は…
独りであり、未熟である、というのは、
ある意味当たり前の二十歳なんでしょうが、
それが当たり前だと思えるのは、そこから遠く離れてしまったから、
なんでしょうね。
by 荒井太一 (2006-02-07 09:21) 

内部正明

オイラは二十歳の頃、ある女流作家の作品を貪り読んでいました。内容は殆ど忘れてしまいましたが、処世訓のようなものを学んだと思います。
by 内部正明 (2006-02-07 10:48) 

マルケン

旅か・・・
これは、もともと苦しいものなんですね。
芭蕉にしたって、命がけでみちのくを旅したわけですから。

昔は、早逝する若い才能が多かったですね。
啄木しかり、透谷しかり・・・
by マルケン (2006-02-07 12:46) 

茶谷昌宏

いやあ!いい文章ですね。ジーンときました。
一人旅、いいですよね。学生の頃わたしもなにげなくフッとクルマで旅に出かけたことが何度もありました。(列車もありました)
着の身着のまま、あてどもなく旅に出る。今ではなかなか難しいですが、
いつかまた必ず「一人旅」を敢行したいと思っています。
by 茶谷昌宏 (2006-02-07 18:40) 

川原秀行

半年ぐらい入院していたときに乱読しました。ドストエフスキーに夏目漱石、本当にとりとめもなかった読み方だったなといまさらながら思います。
by 川原秀行 (2006-02-07 19:41) 

horigon

>エルモさん

師匠、申し訳ないでゴザル。せっかく、温かい忠告していただいたのに。
おかげで、風邪は可成り良くなりました。今度は誰の番かな?

それから42才で未熟って、僕から見ればまだ、ハナタレですよ。(笑)

>たいへーさん

ホントに、生きていらしたら、僕より年上で、孫もいる年なのに残念です。

>パソコン媒体する新種のウイルス
そうなんですよ。僕は、信越地区から感染した気がするんですが、
今度は、水戸様だったりして。(笑)
by horigon (2006-02-07 19:41) 

horigon

>荒井さん

そうですね。今から考えてたら、簡単に割り切れるような問題でも、
当時は結構悩んだような気がします。

>内部さん

昔、繰り返し読んだ本でも、ほとんど内容は僕も覚えてないですね。
でも、きざな言い方をすれば、自分の魂の中には、その骨格が残っている
ような気がします。
by horigon (2006-02-07 19:50) 

horigon

>マルケンさん

楽な旅もあれば、辛い旅もある。人生も、同じかも知れませんね。
それにしても、20代から30代前半で早世した才人達も、生きている内は
あまり評価されなかったのは皮肉ですね。

>茶谷さん

あるがとうございます。
それにしても、一人旅か。してみたいですね。
でも、当時は感動を伝える相手がいませんでしたが、
今だったら、すぐ、旅先から携帯で、家族に電話しそうです。

>川原さん

僕は、どちらかというと乱読する方です。
ジャンルを区切った整合性のある読み方は、逆に疲れます。
by horigon (2006-02-07 20:10) 

コマちん姐さん

最後の辞世の詩に、涙が出そうになりました。
「明けない夜はない」って、自分が大人になってわかることで、
悩める二十歳にはそういう希望も持てないことが悲しいです。
Horigonさんは今でも純粋だと思いますよっ♪
・・・なんちって。と、自分でゆーて照れちゃっている姐さんでした。
by コマちん姐さん (2006-02-07 22:57) 

東雲の行政書士

私も「二十歳の原点」読みましたよ。
horigonさんと同じように純粋でした、学生時代は。
何事にも積極的に取り組んでいたし、ボランティア活動の
サークルで過ごした四年間が思い出されます。
by 東雲の行政書士 (2006-02-07 23:36) 

horigon

>コマちん姐さん

本当は、この詩、まだまだ続くんですよ。
機会があったら、立ち読みでもして下さい。

姐さん、人のこと褒めておいて、途中で照れてどうするの。
最後まで、褒め倒さないと。(怒)・・・・・・ウソぴょ~ん。(笑)

>東雲さん

僕は、東雲さんみたいな活動は何もしなかったな~。
バイトと麻雀、競馬と遊んでいた“ア法学部”卒ですから。
でも、それも今となっては良い思い出です。

そうそう、失礼ながら、東雲さんは真面目すぎるのが、しいて言えば欠点かな。
僕のように、多少?不真面目な方が、打たれ強いような気がしますが。
どんどん、ブログで専門の話や、昔話を聞かせて下さいよ。
仲間が参戦してくれないと弱りますよ。

ま~、暇なのは、僕だけかも知れませんが。(笑)
by horigon (2006-02-08 00:01) 

kiha

初めまして。
きはといいます。
高校三年生です。
20歳の原点は16歳の時に初めて読みました。
同じ年頃ということで共感を禁じえないところが多々ありました。
また、思想的にも似ていてここまで洗練された日記を書ける彼女を尊敬しています。
by kiha (2006-04-08 10:14) 

horigon

>きはさん

はじめまして。
僕もかってこの本を読んだときは18~19才だったと思います。
今、あなたの話を聞いて、純粋なものは時代を超えても純粋だなと
改めて思いました。
その純粋さ故に、進学や異性のこと、将来のことに真剣に悩むとは
思いますが、それらは全て時が解決してくれる問題でもあります。
「明けない夜は無い」若い人には未来がありますね。
by horigon (2006-04-08 15:35) 

michan

素敵な詩ですわ・・・・
ゴン様の20歳の頃・・・・
見て見たい~~^0^
by michan (2007-04-08 00:56) 

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