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「明日の記憶」を見てきました [映画]

前々から見たい映画がありました。
昨日は、朝になって、急に矢も立ても溜まらない気持ちとなり、家事も仕事も
とりあえず放り出して、いそいそと映画館に出かけていきました。
「明日の記憶」を見るために・・・。

美しい妻と出来ちゃった結婚を間近に控えた娘、平凡だが穏やかな家庭、
そんな中で大手広告代理店に勤めるやり手でしかも部下の面倒見のよい主人公の
渡辺謙演じる「佐伯」、念願の大きな仕事も決まって張り切っている中で、
体調の変化に気づく。

その変化は、家庭で、そして仕事で徐々にしかも確実に佐伯の自覚となって
現れてくる。
見知った人の名前や顔が分からない、スケジュールを勘違いするなどの症状が
顕著に現れてきた佐伯は、妻の勧めもあって病院で検査を受けることとなった。

結果は、「若年性アルツハイマー病」だった。
脳の機能が次第に低下していく病気で、完治する治療薬は今のところない。
取り乱し錯乱状態で病院内を屋上へと走る佐伯、それを追いかける妻、
「俺が変わってしまっても、俺が俺じゃなくなってしまっても平気なのか」
「私がいます。私がずっと、そばにいます」

娘の結婚を待って会社を退職した佐伯と、悲劇の予感を感じながら夫を
支え続ける妻との生活がそこから始まった。

はっきりいって、思いっきり地味な映画です。そして、特別お金を掛けてもいない。
しかも、脇役人はかなりユニークで多様なメンバーがいるにもかかわらず、
印象に残ったのは渡辺謙と樋口可南子の自然体の演技がほとんど全ての
映画でした。
しかし、思いっきり感動し、思いっきり自然に泣ける、そして時間を忘れさせてくれる
映画でした。

だんだん抜け落ちていく記憶、そしてついには妻の記憶さえ・・・。
帰らない夫を心配して探していた妻と、魂の抜け殻となった夫との再会。
これが最後のシーンです。
妻が自分の名前を告げる。「いい名前ですね」と夫。
それは、悲壮感よりも、これから始まる新たな男女の人生の始まりを暗示している
ようで、悲しくもあり、清々しくもあるシーンでした。

かなり「ネタばれ」してしまい、これから見る方には恐縮ですが、最近感動していない方、
思い切り泣きたい方にはお勧めの映画だと思います。
ぜひ、ビデオではなく映画館でご覧ください。




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コメント 18

まめぞう

お早うございます!
良さそうな映画ですねぇ。
こういうのはハリウッドでは作れないですね、きっと。
晩年アルツハイマーだった僕の祖母が、亡くなる当日の朝に、「あのね、今日ね、お迎えが来るのよ♪」 といって嬉しそうにニコニコしていたことなど思い出しました。
アルツハイマーの遺伝子が発見されてから久しいですが、早く治療方が見つかるといいですね・・・
by まめぞう (2006-05-18 06:43) 

マルケン@行政書士は食えない国家資格?!

ハリウッドのドンパチもいいですが、
日本の映画も負けていませんよね。

私は最近、よく観にいきますよ。
男たちの大和、三丁目の夕日などなど・・・

明日の記憶、海猿なんかも観たいですね。
映画館で・・・
by マルケン@行政書士は食えない国家資格?! (2006-05-18 09:08) 

荒井太一

最近、記憶を扱った映画が増えましたね。
人間は記憶だけで出来ているものではないですが、
その人が他の人と違うという重要な要素のひとつであることは確かです。
記憶が無くなる恐怖というのは、そのまま、
自分が自分じゃなくなる恐怖、なんでしょうね。
ん~、観たいな~
監督が『ケイゾク』や『トリック』の、
ケレン味たっぷりの演出が得意な堤幸彦さんなので、
こういう作品はどうだろ、と思ってましたが、良さそうな感じですね。
by 荒井太一 (2006-05-18 09:14) 

michan

おはようございます~。今日は2番ではなかったーー;
今、主人の祖母がアルツハイマーです。
何にもわからなくなり、父の存在さえ。
いつもニコニコしています。本人はたぶんすばらしい世界にいるのだろうと。
この映画みたいと思いましたが、昔主人の母が、亡くなる前モルヒネで何もわからなくなったとき、その光景が浮かび見れないだろうなと。
そして怖い・・・今現実の世界がなくなるのを見るのは。
弱虫なわたしですーー;
by michan (2006-05-18 09:56) 

くみみん

おはようございます。
最近、アルツハイマーという病気が認知されだしたような気がします。「半落ち」では奥さんがアルツハイマーでしたね。
この病気は本人が「だんだんわからなくなっていく」ことに自覚があることが悲しいです。記憶喪失も悲しいですが、その過程がわかるって、どんなにかつらいでしょうね。
by くみみん (2006-05-18 10:18) 

黒

映画のせいか、TVでは若年性アルツハイマーについてたくさん取り上げられていますね。
見た目は病気と分からないので、なかなか気がついてもらえないそうなので、映画がキッカケで世の中に認知されていくのも、大切なことじゃないかと思います。
by 黒 (2006-05-18 11:31) 

たいへー

職業柄、出張などで、認知症やアルツハイマーの方のカットを
しますが、同じ話を繰り返す認知症とは違い、アルツハイマーは
カットの間、ちゃんと会話が成立しているんですよ。 
それが終わって、一歩でも歩き出した瞬間に、もう忘れている。
介護するかたの苦労は計り知れないですね。
ちなみに私、最近「ちょっと前の記憶」も怪しくなって参りました。
by たいへー (2006-05-18 12:39) 

ケンシロウ

荒井さんのブログのごとく読ませてくれる文章ですねぇ~。
僕は感動系の映画はあまり観ないんですがこれは良さげですね。
by ケンシロウ (2006-05-18 12:52) 

のりちゃん

この映画、今とても話題ですよね~
私も観たいとは思ってるんですが・・・
ここにあるhorigonさんの文章読んだだけで、もうウルウル来てしまいました^^;
ははは・・・
by のりちゃん (2006-05-18 15:32) 

内部正明

最近若年アルツハイマーものが流行っているようですね。ヤクルトレディのお姉さんから割引券を貰ったのですが、さていつ行こう?
by 内部正明 (2006-05-18 15:59) 

INDY

ちゃきちゃきの江戸っ子だった祖母がアルツハイマー→認知症と症状が進み、現在一緒に住み母とともに介護している身からすると現実味がありすぎてとても見る気にはなれません。
by INDY (2006-05-18 16:12) 

川原秀行

アルツハイマーも研究が進んで、この映画のような悲劇が起こらないように早くなってくれるといいんですが。悲しげな映画ですね。見たくなりました。
by 川原秀行 (2006-05-18 17:01) 

horigon

>エルモさん

師匠、こんばんは。

なんでもこの映画は世界に向けて配給するそうですよ。

そう言えばこの病気かなりポピュラーな病気なんですね。
お祖母様はお気の毒なことでしたが、コメントを聞いて、きっと師匠のように
ほのぼのして温かい方だったのだなということが偲ばれます。
医療の世界も日進月歩、早く治療法が見つかればいいですね。
ナイスありがとうございます。

>マルケンさん

最近の日本映画はある意味、ハリウッドに引けをとりませんね。
実はこの映画、二人で観ることをお勧めしたいので、マルケンさんも
お二人でどうぞ。
by horigon (2006-05-18 21:56) 

horigon

>荒井さん

「博士の・・・」もそうでしたが、いたるところに記憶を無くした時のために
張り紙がしてあるシーンは、ある種コミカルなシーンではありますが、
現実の世界に置き換えると、とても笑えないことです。
荒井さんのように上手くは説明出来ませんが、ぜひ他の人にも勧めたい
作品だと思いました。

>michanさん

4番乗りありがとうございます。(笑)
ご家族に中にこの病気の方がおれれることは、とても辛いことですね。
そして、その人の人格が徐々に失われていくのを間近で見ているご家族の方の心境、お察し申し上げます。

誰だって怖いですよ。きっとmichanさんが正直なだけですよ。
ナイスありがとうございます。
by horigon (2006-05-18 21:59) 

horigon

>kumimin さん

こんばんは。
そうそう、「半落ち」も悲しいストーリーでしたね。

本人も辛いですが、それを看ているご家族も辛いことでしょうね。
最近、僕も気のせいか物忘れが激しくなって来たので、ひょっとして、
なんて背中が寒くなって来ました。(汗)

>黒さん

現在は残念ながら治療法は無いそうなのですが、進行を遅らせることは
可能だそうです。
世間で広く認識されることで、治療法の確立が早まればいいですね。
by horigon (2006-05-18 22:02) 

horigon

>たいへーさん

いずれの病気もご家族にとっては辛いものでしょうが、本人の人格が
失われていくのは、見掛けはそのままで中身はその人でなくなるということですから、一層哀れに感じられるかも知れませんね。

たいへーさんは、娘さんに例の張り紙を頭の四方に張ってもらってください。(笑)
ナイスありがとうございます。

>ケンシロウさん

おお!荒井さんのブログでかなり鍛えられましたから、ひょっとして効果が
出てきましたかね。(笑)
この映画は、彼女と二人で鑑賞することをお勧めいたします。
by horigon (2006-05-18 22:04) 

horigon

>のりちゃん

この映画を観て僕は約5回は泣きましたから、のりちゃんなら10回は
固いはずです。
お宅の熱血漢のご主人なら最高記録かもしれませんよ。
ぜひお二人でお出でくださいませ。

>内部さん

あ!内部さんヤクルト飲んでるんだ!初耳です。
内部さんの泣く姿をぜひ見てみたいものです。
by horigon (2006-05-18 22:05) 

horigon

>INDYさん

たしかにご家族のなかに既往症の方がいらっしゃると、映画どころではないと思います。
配慮が足りなかったかもしれませんが、お大事にしてください。

>川原さん

若年性のアルツハイマーは進行が早いそうです。
お年寄りならいいというわけではありませんが、まだ若いだけに一層哀れでした。
早く治療法が確立されればいいと思いました。
by horigon (2006-05-18 22:06) 

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